先取特権と質権

1 先取特権とは

法律で定める特定の債権を確実に回収するために、当該債権者が債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けることのできる担保物件をいいます。(303条)

先取特権の種類

①一般先取特権

債務者かの総財産から優先弁済を受けることできる先取特権です。(306条)

②特別先取特権

動産の先取特権では債務者の特定動産から優先弁済を受けることができます(311条)。

不動産の先取特権では債務者の特定不動産から優先弁済を受けることができます。(325条)

先取特権の順位

一般先取特権が競合する場合は、306条に掲げた順序に従って優先的に弁済を受けます。(329条1項)

一般先取特権と特別先取特権が競合する場合は、特別先取特権を優先します。ただし、共益費用の先取特権(一般先取特権)は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有します(329条2項)。

動産の先取特権が競合する場合は、保護する必要性の大きいものから順次優先します。(330条)

不動産の先取特権が競合する場合は、325条に掲げた順に優先弁済を受けます(331条1項)。

不動産の先取特権と抵当権の優劣は、不動産保存の先取特権の場合では、保存行為完了後、登記をすれば、先に設定か登記されている抵当権にも優劣します(337条、339条)。 不動産工事の先取特権の場合は、不動産保存の先取特権のやり方と一緒です(338条、339条)。 不動産売買の先取特権と抵当権では、登記の先後で優劣が決まります(340条)。

2 質権

質権者が債権を担保するために債務者または第三者から受け取った物を占有し、もし債務が弁済されない場合には、その物を競売して優先的に弁済を受けることができる担保物件のことです。(342条)。

①質権設定契約

質権者(債権者)と質権設定者とで締結されます。質権設定者は債務者でも第三者(物上保証人)でもよいが、意思表示だけでは足りず、質物の引渡しがないと効力が生じません。(要物契約) (344条)。質権者には、善管注意義務があります。

②流質契約の禁止・転質

質権設定契約や債務の弁済期前の契約での流質(質権者に弁済として質物の所有権を取得させること)は認められません(349条)。質権者は、他から金銭を借りるために、その権利の存続期間内において、自己の責任において質物を再度質入れすることができます。これを転質といいます(348条)。

③動産質の特則

質権設定者の承諾がないと使用・収益することができません。(350条、298条2項) 第三者に対抗するためには、継続して質物を占有する必要があります。(352条)

④不動産質の特則

質権者は、質権設定者の承諾なく使用・収益することができるが、質権の目的である不動産の用法に従って行うこととされています。(352条)

使用・収益した場合は、管理費用その他不動産に関する負担を負います。(357条)

質権者は、原則として債権の利息を請求できません。(358条)使用・収益することが可能だからです。

不動産質権の存続期間は、10年を超えることができません。更新する場合も同様です。(360条)

第三者に対抗するためには、登記が必要です(177条)。