保証債務の付従性、随伴性、補充性、抗弁権

①保証債務の付従性

主たる債務と保証債務との間には主従の関係があります。例えば、保証人の負担が債務の目的や態様の点で主たる債務者の負担より重いときは、主たる債務の限度に減縮されます。(448条) 保証債務は、主たる債務と法的運命を共にするします。例えば、主たる債務が無効のとき、取り消されたとき、また、主たる債務が弁済によって消滅した場合には、保証債務は当然に消滅します。

②保証債務の随伴性

保証債務は従たる債務であるから、主たる債務と同じ動き方をします。例えば、債権がAからBに譲渡されると、保証債務もBに負うことになります。

③保証債務の補充性

保証人は、主たる債務者が弁済しない場合にはじめて保証人が弁済すれば足ります(446条)。保証債務は補充的なものです。以下の2つの抗弁権に表れています。

1・催告の抗弁権

債権者が主たる債務者に請求せずに直接保証人に請求してきた場合、保証人は、まず主たる債務者に請求してくれと抗弁できます。(452条)ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けていたり、行方不明の場合には、抗弁権は認められません。

2・検索の抗弁権

債権者がいきなり保証人の財産に対して強制執行をしてきたときに、保証人は、まず主たる債務者の財産に対して強制執行してからにしてくれと抗弁することができます。(453条)ただし、主たる債務者に弁済の資力があり、しかもその執行が容易であることを証明する必要があります。

④保証人のその他の抗弁権

1.時効

主たる債務者が時効で消滅しているときは、保証人は主たる債務の消滅時効を援用することができます。(判例)したがって、その場合には、保証債務も消滅していると抗弁できます。

2.同時履行

保証債務の付従性により、保証人は、主たる債務者の有する同時履行の抗弁権を援用できます。

3・相殺

保証人は、主たる債務者が債権者に対して有する反対債権による相殺をもって債権者に対抗することができます。(457条2項)

⑤保証人の求償権

保証人が債権者に弁済すると、主たる債務者に対して求償することができます。これを保証人の求償権といいます。(459条~465条)主たる債務者の委託を受けずに保証人となった者が弁済した場合でも、一定の限度があるが、主たる債務者に対して求償することができます。(462条) 物上保証人が債務者の債務を弁済したときは、債務者に対して求償することができます。(351条、372条)

⑥特殊な保証

1・共同保証(456条)

同一の主たる債務者のために数人の保証人が保証債務を負担することをいいます。この保証は、数人の保証人がおのおのの行為で債務を負担したときであっても、分割債務として、主たる債務額を保証人の人数で除した額を負担します。(分別の利益)

2.連帯保証(454条)

保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証債務をいいます。連帯保証には、催告の抗弁権、検索の抗弁権はありません。また、数人が連帯保証人となっても、分別の利益はありません(判例)。連帯保証は債権者にとって有利なものといえます。

⑦主たる債務者および保証人(連帯保証人)に生じた事由の他の人への効力(457条、458条で準用する434条~440条)

1.保証債務

主たる債務者に生じた事由の効力は、保証人にも効力を及ぼします。保証人に生じた事由の効力は、弁済など債務を消滅させる事由のみ主たる債務者に効力を及ぼします。

2・連帯保証

主たる債務者に生じた事由の効力は、連帯保証人にも効力を及ぼします。連帯保証人に生じた事由の効力は、①弁済など債務を消滅させる事由 ②履行の請求 ③更改 ④相殺 ⑤混同などの事由によって主たる債務者に効力を及ぼします。なお、保証人(連帯保証人)には負担部分というものがないので、相殺(436条2項)、免除(437条)、時効の完成(439条)により生じた事由については、主たる債務者に効力が及びません。