農業の歴史や人類の歴史を根底から変えたトラクター

今回、紹介する本は、トラクターの歴史を扱った本です。鉄道や自動車に比べると地味な印象ですが、トラクターの登場は農業の歴史を変えただけではありません。人類の歴史も変えた発明でもありました。

トラクターによって変わったこと

トラクターが登場する前の農作業は、人間が直接手で、鍬、鍬を持って作業したり、牛馬を使って作業していました。人類は数千年にわたって手作業や家畜に依存するやり方で農作業をしていました。しかし、トラクターの登場により、農業の歴史が劇的に変わりました。

トラクターの登場によって変わったことは、まず、牽引力のエネルギー源が変わったことです。家畜の場合のエネルギー源は、飼料でしたが、トラクターが登場してからは、石油が必要になったことです。トラクターは、牛馬のように飼料を必要としません。燃料を補給するだけで農地を耕すことができるようになりました。トラクターは牛馬のように疲れることはないので、安定して農作業ができるようになりました。牛馬の場合は牛馬の疲労や体調不良の不安があるので安定した農作業ができないことがありました。トラクターはそれらの不安を取り除くことに成功しました。

家畜の世話、長時間の農作業などの労働をトラクターは解放しました。また、一人で農地を耕すことができる面積を増やすことができるようになりました。そのため、農村に余暇をもたらしました。以前ほど人手を多く必要としなくなったので、余分の人が都市に向かわせることになり、都市人口が増えるきっかけとなりました。

トラクターの登場によって出てきた弊害

トラクターの登場は良いことばかりではありませんでした。さまざまな問題が出てくることになったからです。トラクターが故障した場合、自力で修理することは難しいので専門の修理屋に頼む必要があります。トラクターによる事故も発生するようになりました。自動車の登場によって多発する事故の問題に直面したことと似ています。トラクターを購入するために多額の借金が必要になりました。

また、トラクターが登場するまでは、牛馬等の家畜が排出する糞尿を利用して肥料にすることができてました。しかし、牛馬からトラクターによる農作業に変わったことによって、家畜の糞尿によって肥料を手に入れることができなくなりました。つまり、自給自足ができなくなりました。外部の市場から肥料を調達する必要が出てくるようになりました。

外部から調達するのは肥料だけではありません。石油も調達する必要もでてきました。家畜の飼料からトラクターの燃料に代わったということです。燃料を外部から調達する必要が出てきたということは、原油価格の変動に悩まされるという問題に直面することにもなりました。この問題は、現代でも続いています。

トラクターの技術史から見た教訓

上記のトラクターの登場によって発生した弊害を説明したように、便利さを提供しただけではなく、同時に問題ももたらすことになりました。トラクターに限らず新しい技術の発明は、我々の生活を便利にするだけではなく、いろんな課題を発生させることにもつながります。機械を導入するために、借金が必要になったり、機械操作のミスによる事故、機械の劣化による廃棄物の発生、それに関連する環境問題の発生がトラクターの歴史から見えます。技術の発達は便利さだけではなく問題も同時に起こることも視野に入れることも必要です。

以上、農業の歴史や人類の歴史を根底から変えたトラクターという記事でした。

 トラクターの世界史