時効について

1取得時効と消滅時効

ある一定の事実状態が続いた場合に、その事実状態が真実の権利関係に

合致するかどうかを問わないで、その事実状態をそのまま権利として認

めることを時効といいます。時効は以下2つの種類があります。

①取得時効

一定の時間が経過することによって他人の権利を取得することことで

す。他人の物を、所有の意思をもって、平穏かつ公然に占有すること

によって成立します。時効取得を成立させるためには、無権利者が占

有開始時に、悪意または有過失だった場合は、20年間(家や土地等

を)占有継続する必要があります。または占有開始時に、善意かつ無

過失だった場合は10年間占有継続すれば成立します。所有の意思と

は、所有者と同じような排他的支配を行おうとする意志があることで

す。所有の意思のある占有を自主占有といいます。反対に所有の意思

がない占有を他主占有(賃借権に基づく賃借人の占有など)といいま

す。他主占有だと何年占有したとしても所有権を時効取得できません。

自主占有の場合は、必ずしも本人が現実的に物を支配している直接占有

(自己占有ともいいます)である日必要はなく、他人(例えば賃借人)

を介して間接的に占有している間接占有(代理占有)でもよいことにな

っています。占有開始時に善意無過失であったが占有の継続途中で、他

人の物であることを知って悪意になったとしても、占有開始時で善意で

あるから時効取得は10年で取得できます。

所有権以外の財産権の取得時効にも要件があります。(163条)所有

権以外の財産権とは、地上権、永小作権、地役権(継続的に行使され、

かつ外見上認識することができるものに限る)などのことです。

所有権以外の財産権を取得するためには、自己のためにする意思をもっ

て、平穏かつ公然に行使した無権利者が行為開始時に、悪意または有過

失である場合は、20年間行使を継続する必要があり、また善意かつ無

過失であったならば、10年間行使継続する必要があります。

時効期間の途中で占有を引き継いだ者は、自己の占有期間のみまたは自

己の占有期間に前占有者の占有期間を合算した期間のいずれかの方法で

取得時効を主張できます。前占有者の占有期間を合算するとは、例え

ば、前占有者が悪意で8年間占有し、承継者が善意で12年間占有し

ているときは、悪意の占有者の期間と善意の承継者の期間と併せて主

張できることを意味しています。

②消滅時効(167条)

権利者が権利を有し、かつその行使ができるにもかかわらず権利を行使

しない期間が、以下の場合だったら時効によって消滅します。

1一般債権であった場合は、10年間継続

2債権以外の財産権の場合は、20年間継続

ただし、所有権は消滅時効にかかりません。消滅時効の起算点は、権利

を行使できるようになったときから進行します。(166条)

2時効の中断

時効期間の途中で、権利者が権利を行使したり、債務者が債務を承認す

ることによって、時効期間の進行が中断するをいいます。時効が中断す

ると、これまでの期間の経過が、時効の中断により効力を失うことにな

ります。時効中断事由が終了したときは、再び新しく時効期間が進行す

ることになります。時効の中断事由(147条)は、まず請求がありま

す。請求は、裁判上の請求(149条)、支払督促(150条)、和解

または調停の申立て(151条)、破産手続参加、再生手続参加または

更生手続参加(152条)、催告などがあります。他の中断事由は、差

押え・仮差押え・仮処分(154条)や承認です。催告については、催

告をしただけでは、中断することはできません。催告をした後6ヶ月以

内に、149条~154条の手段をとることによって催告をしたときに

さかのぼり中断します。債務を承認するためには、債務者が相手方の権

利につき、処分の行為能力および権限を有することは必要ありません。

(156条)しかし、管理能力および権限を有する必要です。したがっ

て、未成年者や成年被後見人が単独でした承認は取り消すことができま

す。ただし、被保佐人や被補助人は管理能力および権限を有するので、

単独でした承認は完全に有効であり、時効中断の事由になります。

3時効の遡及効、援用、放棄

時効の遡及効とは、時効が完成すると、時効の効果はその起算日にさか

のぼることです。(144条)取得時効の場合は占有開始時に、消滅時

効は、権利行使できる時に遡及します。

時効の援用とは、時効によって利益を受ける者が、その利益を受ける意

思表示をすることをいいます。したがって、裁判所が時効の完成を認定

するには、当事者(援用者)が時効の援用をする必要があります。

(145条)時効の援用者とは、時効によって直接利益を受けるべき者

およびその承継人と定められています。具体的には、債務者、連帯保証

人、保証人、抵当権付き不動産の取得者などです。

援用の効果は相対的な効果であり、他の援用権者には及びません。

消滅時効完成後に債務などのあることを認めた場合は、例え時効完成の

事実を知らなくても、もはや時効を援用することはできません。

時効の放棄とは時効の利益を受けた者が、その利益を受けない意思表示

をすることをいいます。時効の利益の放棄は、完成した時効または経過

した時効期間についてのみ認められ、時効完成前にあらかじめ時効の利

益の放棄をすることはできません。(146条)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

条件・期限・期間について

1条件

①停止条件付法律行為

転勤したら家を贈与するというような、一定の事実が発生したら

効力が生ずることになる法律行為をいいます。この一定の事実を

停止条件といいます。停止条件付法律行為は、停止条件が成就し

たときからその効力を生ずることになります(民法127条1項)。

②解除条件付法律行為

転勤しなかったら返還することを条件に家を贈与するというような、

一定の事実が発生したら効力を失うこととなる法律行為をいいます。

この一定の事実を解除条件といいます。解除条件付法律行為は、解

除条件が成就したときからその効力を失います。(127条2項)

③条件の成否未定の間における法律行為など

条件の成否が未定である間は、条件が成就したときに生ずる相手方

の利益を侵害することができません。(128条) 条件の成否が未

定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分

し、相続し、もしくは保存し、またはそのために担保を供すること

ができます。(129条)

④条件が成就することを妨げた場合

条件が成就することによって不利益を受ける当事者が、故意にその

条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものと

みなすことができます。(130条)

⑤成就することのない不能の停止条件を付した法律行為

成就することのない不能の停止条件を付した法律行為は、実現不可

能だから、無効になります。(133条1項)

2期限

将来その事実の到来が確実であることを期限といいます。ある事実

の到来する時期が確定しているものを確定期限といいます。到来す

るのは確実だがその時期が不確定なものを不確定期限といいます。

例えば、死亡したら財産を与えるなどが不確定期限となります。

1月10日に代金を支払う約束をしたようにすると確定期限になりま

す。この期限が到来するまでは代金を払わなくてよいことになりま

す。支払う側からしたら期限が到来するまでは払う必要がない利益

があることになります。これを期限の利益といいます。支払う側は、

相手方の利益を害さない限り、この期限の利益を放棄することがで

きます。(136条2項)つまり、期限を早めて代金を弁済することが

できます。

3期間

①期間の起算点

期間が午前零時から始まり場合を除いて、原則として初日は算入しな

いで翌日から計算します。これを初日不算入の原則といいます。

(140条)

②期間の満了点

期間の末日の終了(末日の午後12時の経過)によって満了します。

 

 

 

 

 

 

 

無権代理について

代理人として意思表示をした者が、代理権を有してなかった場合を

無権代理と言います。代理人がした契約の効果は本人には帰属しな、

いことになります。しかし本人が契約の内容が自分に有利な内容だ

ったら無権代理人に代理権を与えたことにしたいと考えます。そこ

で、本人は、追認することができます。追認したことによって、契

約の効果が、原則として、行為をしたときにさかのぼって生じるこ

とになります。追認の方法としては、黙示のものでもできます。

追認の意思表示は、相手方または無権代理人のどちらに対してもで

きます。

1相手方保護の手段

契約の相手方を保護するために4つの制度があります。

①催告権

無権代理人から意思表示を受けた相手方は、本人が追認するかどうか

がはっきりするまでは不安定な立場であるので、本人に対して、相当

の期間内に確答を促す催告をすることができます。この催告権は無権

代理であることを知っている悪意の相手方にも催告権があります。

期間内に本人の確答がない場合は、追認を拒絶したものとみなされま

す。

②取消権

相手方が契約時に無権代理人とは知らずに善意であった場合は、本人が

追認するまでなら、契約を取り消すことができます。

③無権代理人への責任追及権

相手方が本人の追認を得られず、無権代理人の代理権の存在を証明でき

ない場合は責任を追及できます。責任追及をすることができるのは、善

意無過失のときに限ります。無権代理人は相手方の選択によって、履行

責任か損害賠償責任を負います。

④表見代理

無権代理において、外見上代理権があるかのように相手方を信じさせる

ことがあった場合には、無権代理人を真の代理人と誤信した相手方を保

護するために、適法な代理行為と同様の効力を認めたのを表見代理とい

います。表見代理が成立するのに必要な要件は、本人が、第三者に対し

て、ある人を自分の代理人にした旨の表示を示した場合(代理権授与の

表示による表見代理)、代理人が抵当権設定の代理権しか与えられてな

いのに売買契約を結んでしまったなどの例があった場合(権限外の行為

の表見代理)、代理権が消滅した後は、その消滅したことを知らない善

意・無過失の相手方との間に代理行為がなされたとき(代理権消滅後の

表見代理)などが要件になります。これらによって表見代理が成立しま

す。

⑤無権代理に関する判例

本人が無権代理を相続した場合は、無権代理行為は有効とならないた

め、本人は追認を拒絶できます。ただし、無権代理人が相手方に債務

を負担してい場合は、相続人としての本人は、その債務を免れること

ができません。また無権代理人が本人を単独で相続した場合は、無権

代理行為は有効となります。つまり、無権代理人は本人から相続した

追認拒絶権を行使することができないということです。以上が無権代

理に関する判例です。

復代理人について

複代理人とは、代理人によって選任された本人の代理人のことです。

複代理のした行為の効果は選任した代理人ではなく本人に効果が帰

属することになります。

①復代理人の選任と責任

任意代理の場合は、原則として、複代理を選ぶことができないとされ

ています。例外として、本人が復代理人を選ぶことに賛成した場合や

やむを得ない事情がある場合は選任することができます。

法定代理の場合は、いつでも自由に復代理人を選任することができま

す。復代理人がミスをしたときは、代理人はどのような責任を本人に

対して負うのかが問題になります。任意代理の場合は、選任監督責任

として代理人が責任を負うことになります。しかし、本人の指名に従

って選任したときは、その不適任または不誠実なことを知っていて本

人に告げなかった場合等でなければ、代理人は責任を負いません。

法定代理の場合は、代理人が全責任を負うことになります。

②復代理人の地位

復代理人は、代理人の仕事を代理人に代わってするので、復代理人の

代理権の範囲は、代理人の代理権の範囲であり、代理人の代理権が消

滅した場合は、復代理人の代理権も消滅します。

 

 

代理行為の顕名と瑕疵

①顕名

代理行為は、顕名をしたうえで意思表示をする必要があります。

もし代理人が顕名をしなかったら本人に効果が帰属せず、代理人

が自分自身のために、契約したものと扱われます。しかし、契約の

相手方が代理人が本人のために契約行為を知っていた場合は、行為

の効果は本人に帰属することになります。

②代理行為の瑕疵

代理行為において、詐欺、強迫などで意思表示の効力に影響を受ける

ときは、その事実の有無、善意か悪意などは、代理人が基準として判

断されます。これは代理において、代理人がした行為の効果は全部本

人に帰属し、本人自身が強迫や詐欺によって意思表示をしたことにな

るため、本人が取り消すことができることを意味します。

上記の善意か悪意かを判断する場合は、例えば、ある住宅を買うため

に、本人が代理人に買入れを依頼し、代理人が契約をしたがその住宅

に瑕疵があった場合において、代理人は住宅の瑕疵については知らな

ったが、本人は知っていた場合は、本人は売主に瑕疵担保責任を追及

することができるのかが問題になります。この場合は、本人が悪意だ

ったら代理人が善意無過失であったとしても、本人は善意無過失を主

張できないことになります

 

 

 

 

 

自己契約と双方代理の禁止

①自己契約

自分が代理人であるにもかかわらず代理人であることを告げずに、

自分が契約の相手方になることを自己契約といいます。民法では、

原則として、自己契約はだめであり、自己契約を行ったときは、

代理権がないつまり無権代理人となります。これによって本人に

効果が帰属しないことになります。しかし例外として、本人に不利

が生じる可能性がないような場合は自己契約が可能になります。

本人が代理人の自己契約をすることにあらかじめ許諾していたとき

や債務の履行の場合で可能になります。

②双方代理

Aさんから建物売却の代理権を与えられた代理人Bが、同時に買主Cさ

んの代理人にもなった場合が双方代理と呼ばれます。この双方代理に

よって、Aさん、Cさんのいずれか一方だけに、不利益をうけることに

なります。そのため民法では、双方代理が原則として認められません。

つまり、無権代理となります。例外として、上記の自己契約と同様に、

あらかじめ本人の許諾のあるときや債務の履行(例として、登記の申

請)があるときは認められます。

 

 

代理人の種類、範囲、資格、消滅

①代理人の種類

代理人の種類としては、2つあります。任意代理と法定代理があり

ます。任意代理は、自分の意思で、他人に代理権を与える代理です。

法定代理は、法律によって代理人に代理権を自動的に与える代理です。

②代理権の範囲

代理人の権限の範囲は、権限が定められていない場合でも、保存行為、

利用行為、改良行為をすることができます。保存行為は、財産の現状を

維持する行為ことです。利用行為は、物または権利の性質を変えない

範囲内でそれを利用して収益を図る行為です。改良行為は、物または

権利の性質を変えない範囲内で使用価値や交換価値を増加する行為で

す。

③代理人の資格

任意代理人は、行為能力である必要はないと定められています。つま

り、制限行為能力者が代理人として契約を結んでも取り消すことがで

きないことを意味しています。代理人のした契約行為の効果は本人に

効果が及ぶので制限行為能力者が代理人になってもかまわないからで

す。

④代理権の消滅

代理人が代理権を与えられた後に後見開始の審判を受けた場合は、代理

権が消滅します。代理人に選任されたが成年被後見人になってしまった

では、代理を依頼した依頼人としては、代理を任せられるか不安なの

で、代理権を消滅させたほうがいいと考えます。他に代理権が消滅す

るのは、代理人が死亡した場合や破産手続開始の決定を受けた場合で

す。

 

 

他の人に契約を委任する 代理契約

代理とは本人に代わって契約をしてもらう行為のことです。ある

契約を本当は自分でしなけらばならないけど仕事で忙しいから、契約

しにいく余裕がないので他の人に依頼して契約締結をしてもらうこと

が該当します。代理で契約した効果は代理人ではなく代理を依頼した

本人(依頼人)に及びます。本人に契約の効果が帰属する条件として

は、依頼を受けた代理人が正式に代理権を持っている必要があります。

代理権を持っていることによって代理人のした契約行為が本人に効果が

帰属することになります。また代理人が取引や交渉する際に相手方に対

して「自分は、依頼人のために契約を結ぼうとしている」と示すよう

な顕名をし、そして契約する意思表示を行うことによって本人に効果を

及ぼします。

 

 

 

 

心裡留保と錯誤

①心裡留保

当事者の一方が、わざと真意と異なる意思表示をした場合を心裡

留保と呼びます。例えば、AさんがBさんに、売るつもりはないの

に冗談で家屋を売ると言った場合が心裡留保になります。しかし、

BさんとしてはAさんは本気で売る気があると思ってしまうことがあ

ります。そこで民法では、原則としてこの意思表示は有効であると

しています。しかし、BさんがAさんが言ったことは冗談であると知

っていた場合、つまり悪意であるときや注意すれば知ることができた

場合(善意有過失)は、無効になります。心裡留保が無効になる場合

は、善意の第三者に対しては無効を主張することができません。

②錯誤

錯誤とは、言い違い、書き違い、勘違いのこと意味しています。

例えば、Aさんが土地を1000万円で売るつもりだったのに、間違って

100万円と書いてしまった場合は錯誤になります。この場合、100万円

と引き換えに土地を引き渡さなければならないのかが問題になります。

結論からいうと、民法では錯誤による意思表示は、無効であるとしてい

ます。つまり100万円と引き換えに土地を引き渡す必要はありません。

Aさんが、錯誤による意思表示であるから無効であると主張するには、

要素(重要な部分)に錯誤があること、重大な過失(重大な不注意)が

ないという2つの条件が必要です。錯誤によって意思表示をした表意者

が錯誤を認めない場合は、相手方や第三者が表意者の意思に反して無効

主張することができないのが原則ですが、第三者に債権保全の必要があ

り、表意者も要素の錯誤を認めてるときは、第三者は、無効を主張する

ことができます。

今なら課税されないと勘違いして土地を売却するなど、意思表示の動機

に錯誤があるにすぎないときは、その動機が明示または黙示に意思表示

の内容として表示され、それが要素の錯誤に関するときは、無効になり

ます。錯誤によって意思表示をした者は、この無効をもって、善意の第

三者にも対抗することができます。

 

通謀して取引した場合の取り消し

①当事者間での効果

売主Aさんが自己所有の家屋を売る気はないが、債権者に家屋

を差し押さえられないように、買主Bさんに売ること思いついて

Bさんに提案したらBさんが買うことを承諾しました。BさんはA

さんの本心を知っていて、契約しました。つまり虚偽の意思表示

を行い、AさんとBさんがつるんで、通謀したことになります。

これを通謀虚偽表示(虚偽表示)といいます。このような表示は

無効とされています。

②第三者に対する効果

上記の通謀虚偽表示で契約をしたBさんから家屋を買った第三者

Cさんに対して売主Aさんは契約の効果がないことを主張して対抗

することができるのかが問題になります。結論から言うと虚偽表示の

無効は善意の第三者に対抗できません。つまりAさんは家屋を取り

戻すことはできないというわけです。第三者Cさんは、AさんとBさ

んがつるんで契約したことを知らない善意の第三者なので保護する

必要があるからです。通謀虚偽表示をしたAさんは保護する必要はな

いというわけです。善意の第三者は、過失があっても、登記をしなく

ても保護されます。

③転得者

善意の第三者Cさんから家屋を買う契約をする場合、転得者Dさんが善

意・悪意のどちらであっても、家屋はDさんのものになります。

第三者Cさんが悪意の第三者であり、転得者Dさんが善意の場合でもDさ

んのものになります。